性同一性障害にはどの様な人達がいるのですか。
性同一性障害を理解しやすくするために、男女という既存の性別の二分制に対比して区別すると以下の3つの状態があります。

■Transsexual(TS):トランスセクシュアル

性別再判定手術(注2)、いわゆる性転換手術までを望む人達のことです。自己の出生に基づく全ての性別に対し強い違和感や不快感を抱き、もしくは何事にもかえられない異性になりたいという強い考えを持ち、男性と女性という性別の二分制でいう反対の性別になろうとする人のことを指します。しかし、以下の項でトランスジェンダーにと分類されている、性別再判定手術までは望まないが、性別を移行し、望みの性別で社会生活を送っている人達もトランスセクシュアルに含めるといった考えもあります。

■Transgender(TG):トランスジェンダー(狭い意味として用いた場合)

性別再判定手術までは望まないが、自己の出生に基づく性別に対し違和感や不快感を抱く人、または異性になりたいという考えを持つにもかかわらず、性別の二分制でいう反対の性別になることまでは望まない人、もしくは男女という既存の性別以外の形を望む人のことを指します。また、性別再判定手術を望んでいるが、まだ性別の移行が完了していない人や性別の移行が困難な人もトランスジェンダーとされるケースもあります。

■Transvestite(TV),Cross Dresser(CD):トランスベスタイト、クロスドレッサー

いわゆる異性装者のことです。異性装者の大部分は自己の性別に不快感や違和感を持たないので性同一性障害と分けられて考えられています。彼らが異性装をする理由はフェティシズム的欲求や変身願望からだと考えられています。しかし、一部の異性装者の中には自己の出生に基づく性別に対し違和感や不快感を抱き、もしくは異性になりたいという考えを持つ人もいます。彼らのように異性装をすることで精神のバランスを取っている人は性同一性障害だと考えられます。性別を移行するための何らかの行動を起こしていないといった点で狭い意味でのトランスジェンダーと分かれるといったところでしょう。

近年は、服装が多様化し特定の活動、例えばロックバンドなどをしている場合には、たとえ男性が女性の服装を身にまとったり、化粧をしたとしても異性装とは言えないでしょう。

これらの比率は多い順に、トランスベスタイト、狭い意味でのトランスジェンダー、トランスセクシュアルと考えられています。

これらの用語や区分は性同一性障害を診断する上では用いられてはいません。主に、性同一性障害の理解や説明の中で用いられる言葉です。実際には性同一性障害の多くの方は年齢と共に徐々に意識の状態が変化してゆく人が多く、この基準に単純に当てはまらない人も多いので単純に区別することは困難です。また、これらの分類は結果論ではないかという意見もあります。分類されることや置かれる立場により新たな差別を生む可能性もあります。また、個々によって状態や症状が変わるので、性同一性障害を深く理解してしまえば、この様に分類すること自体が無意味だと思われます。これらの考えにより、近年では性同一性障害の人全てを広い意味でのトランスジェンダーで総称しようといわれています。

医療の現場では、何らかの治療が必要であるかどうかである程度の区分けが必要とされるかもしれません。

性同一性障害の人に必要なのは「どこに属しているか」という分類ではなく、性同一性障害の人各自が自分のことを理解し、受け入れ「自分は自分である」といった考えを持つことが大切なことでしょう。同様に、性同一性障害に対峙する人も「あなたはトランスセクシュアルですか、それともトランスジェンダーですか」と分類するのではなく、一人一人をそのまま受け入れてゆくことが治療の上でも信頼関係の上でも大切なこととなるでしょう。

注2、性別再判定手術

いわゆる性転換手術こと。外科手術で性別が変えられるわけではないので、「出生の際に誤って割り当てられた性別を、適切に再び割り当てるための手術」といった意味で用いられます1)。性転換手術の意味を正しく日本語で表すのであれば「性別再割り当て手術」といった方が適切でしょう。

性別再判定手術は sex reassignment surgery (SRS) ,gender reassignment surgery (GRS)と表記されますが、単にgenital reconstructive surgery(外性器再建手術)という言葉として使われることもあります。詳しくは18、19項を参照のこと。


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