性転換手術を承認
埼玉大倫理委 国内初
埼玉医大倫理委員会(委員長・山内俊雄同大教授)は12日、東北地方に住む30歳代の女性を男性に転換する性転換手術の実施を承認した。手術の対象者は女性であることに違和感を抱き、男性の体になることを希望している「性同一性障害」の患者で、今夏にも国内で初めて医療行為として公に認められた性転換手術が実施される。(3面、社会面に関連記事)
女性患者
今夏にも実施
性同一性障害は、自分では男性だと思っているのに体は女性だったり、女性だと思っているのに体が男性である状態をさす。今回の患者は幼いころから女性であることに強い違和感を覚え、男性の体になることを望んでいる。l992年から同大総合医療センターなどでカウンセリングや男性ホルモンの投与を受け、現在は男性として職業に就いている。
手術は1回目に卵巣摘出などを実施し、2回目に上腕部の皮膚と肋軟骨を使って男性器を形成する。手術後は男性として性行為をすることもできるが、精子ができないため生殖能力はないという。
性転換手術は95年に原科孝雄同センター教授(形成外科)が倫理委に実施を申請した。倫理委は翌年、手術を医療行為として認めたが、精神科、泌尿器科などの専門家グループが事前の診断に当たることや、関係学会が手術実施のガイドラインを作成することなどを実施の条件にした。
97年5月には日本精神神経学会特別委員会が性同一性障害の治療のためのガイドラインを作成した。このため、倫理委は手術の条件は整備されたと判断した。
日本では、男性3人に精巣摘出の手術をした産婦人科医が優生保護法(現・母体保護法)の「故なく生殖を不能にしてはならない」との条文に違反したとして69年に東京地裁で有罪判決を受け、70年に束京高載で判決が確定した。以降、性転換手術はタブー視されてきた。このため、米国や東南アジアなど海外で性転換手術を受ける人も現れていた。厚生省は「母体保護法は適切な治療を妨げるものではない」と説明し、専門家が具体的に判断する問題だとしている。
1998/5/13
毎日新聞
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