性転換手術、年内にも?

精神神経学会特別委 当事者に指針案説明

自分の性に強い違和感を持ち、別の性になりたいと望む「性同一性障害」の診断や性転換手術を含む治療の指針づくりを進めてきた日本精神神経学会の特別委員会(山内俊雄委員長)は指針案をまとめ、24日、東京都文京区の同学会でこうした障害に悩む当事者らに説明した。最終的な検討を重ね28日の同学会理事会に答申する。性転換手術をめぐっては昨年、埼玉医科大学(埼玉県毛呂山町)の倫理委員会が手術を治療と認めたが、実施には指針や医療体制の整備などが必要と条件をつけていた。同医大では既に学内に専門家チームを設置、約50人が手術を希望しており、同学会が診断・治療の指針案をまとめたことで、早ければ年内にも性転換手術が行われる可能性が高まった。指針案では、生育歴や日常生活などを本人や家族、親しい関係者から聴いた上で2人の精神科医が性の自己意識(ジェンダー)を判定し、それが持って生まれた性と一致しないことが明らかな場合、性同一性障害と診断する。精神療法を受けながら選択した性で一定期間生活したり、ホルモン療法を継続的に行ってもなお手術を望む成人に対しては(1)外科医、精神科医、臨床心理士らによる医療チームがどの部位の手術を行うかを判断(2)文書による同意(3)精神科医らによる術前・術後の精神面や社会適応の援助−などを条件に手術を行うなどとしている。また適切な診断・治療ができる医師らによる施設を全国に2−4ヵ所設置することを提言。さらに治療を行うだけでなく、戸籍の変更や保険適応を合めた医療費の援助などの問題解決に向け、学会として関係省庁に働きかけるべきだ、としている。

性転換希望者ら歓迎

精神神経学会特別委員会の性転換手術への指針案について説明を受けた、性転換希望者らでつくるグループ「FTM日本」代表で、自らも女から男への転換手術を米国で受けた虎井まさ衛さん(33)は「当事者を招いて、基準作りの段階で説明がなされたのは世界初かもしれない」と歓迎した。半面、内容については「精神療法の段階で望む性別で生活するとしているが、ホルモン療法で外見が変わらなければ困難」と実情と合わない点などを指摘。別の当事者は「戸籍変更しないと生活の不都合が多い。法曹界などでも議論が進んでほしい」と語った。

1997/5/25
東京新聞
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